所有している不動産が事故物件の場合、そのまま売却すると事故による悪い印象が強く、なかなか買主が見つからない可能性があります。
そのような場合は、解体してから売却する方法を検討してみましょう。
解体は費用がかかると思われるかもしれませんが、さまざまなメリットがあることをご存じでしょうか。
この記事では、事故物件を解体するメリットとデメリット、具体的な解体費用の内訳について解説します。
事故物件を解体するメリットについて
事故物件とは過去に忌まわしい事故や事件が発生した物件のことであり、物理的に不具合がなくても、心理的な影響によって買主がつきにくいです。
所有者としても、そのままの状態で持っていることに抵抗を感じる方は多いのではないでしょうか。
事故物件を売りたい方は、できるだけ早く・高く売却する方法として解体することをご検討ください。
ただし注意点として、事故物件であることを買主に告知する義務はなくならないことを把握しておく必要があります。
事故物件を解体して、新たな土地として見た目は様変わりしたとしても、かつて同じ場所で事故や事件が起こったことは事実としてなくなりません。
告知義務は何年か経ったらなくなるということがないので、自殺や殺人など起きた事故・事件について買主への告知は怠らないようにしましょう。
それでは事故物件を解体するメリットを3つのポイントに分けて解説します。
メリット①売却しやすくなる
事故物件の建物が当時と同じ状態で残っていると、買主としては生々しく、不快感や嫌悪感を強く抱いてしまいます。
事故現場がそのまま残っている物件の購入を躊躇する買主は多いです。
過去の事件がテレビなどで大きく報道された場合は、とくに印象が強く残っているでしょう。
建物を解体することで、買主の心理的瑕疵の軽減ができ、売却しやすくなります。
かつての面影がなくなることで、事故物件でも気にならないという買主も一定数いるでしょう。
解体することで事故物件をそのまま売るよりも、売却しやすくなることはメリットです。
メリット②土地の用途を変えられる
建っている建物があると、活用方法が絞られてしまいますが、建物を解体することで土地をさまざまな用途に運用する可能性が生まれます。
たとえば、コインパーキングや賃貸物件として活用する方法です。
立地が駅近や都心部であれば、需要が期待できるでしょう。
駐車場や貸し倉庫など、居住以外の用途であれば心理的抵抗を感じにくいメリットもあります。
一般的な居住目的の住宅として売却するよりも、早く買主や借主が見つかることが期待できるでしょう。
メリット③悪いイメージを変えられる
事故物件の解体は、イメージを一新するメリットがあります。
事故物件の噂は周囲の住民に広がりやすいですが、建物を解体して更地にすることで事故物件の印象を風化させやすいでしょう。
過去の事故や事件を連想させない新たな建物に建て替えたり、整地して土地のイメージを変えることで、記憶や印象が月日とともに薄れていくメリットがあります。
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事故物件を解体するデメリットについて
事故物件を解体するメリットについて解説しましたが、メリットと同時にデメリットについても正しく把握しておくことが大切です。
事故物件を解体するデメリットについて、3つご紹介します。
デメリット①固定資産税が上がる
建物が建っていると、固定資産税の軽減措置が適用されます。
200㎡までは6分の1、200㎡を超える部分については3分の1まで、固定資産税の軽減措置が受けられます。
しかし建物を解体することで、これまで受けられていた軽減措置が適用されなくなるため、税金が高くなることをデメリットとして把握しておきましょう。
土地をすぐに売却する予定で、長く所有しないという方にとっては、大きな負担はないかもしれません。
しかし、「思った以上に売却に時間がかかる」「売却するタイミングが予定より遅くなる」など、所有期間が長くなると固定資産税の負担は大きくなるので注意が必要です。
デメリット②解体しても売却価格は下がる可能性が高い
解体して更地にしたり、新たな物件に建て替えたりしたとしても、事故物件であるということで、売却価格が相場より下がる可能性があるでしょう。
心理的瑕疵がある物件は、一般的な相場より3〜5割ほど価格が下がるといわれています。
瑕疵の内容によって価格の下がり方は異なり、自殺は3割程度、他殺や事件性が高い人の死は5割程度の下落が目安です。
ただし、そのほかの条件が優れている物件であれば相場と変わらない価格で売却できる可能性があります。
商業施設が充実していることや駅近で利便性が高いことなど、不動産のメリットをアピールして売却活動をおこなうことが大切です。
デメリット③解体費用がかかる
売却前に解体することで、当然ながら解体費用をご自身の資産でまかなわなければならないデメリットが生じます。
どのような建物かによって解体費用はさまざまですが、安く済んだとしても数百万円はかかるでしょう。
建物の規模や立地状況によっては、数千万円かかることも珍しくありません。
解体後に売却を予定しているにしても、一時的に高額な支出が発生するため、解体するかどうかの決断は慎重におこないましょう。
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事故物件の解体費用について
今後の売却計画を考えるにあたり、解体費用がどれくらいかかるのかを知っておくことは重要です。
解体費用の内訳や費用の目安をご紹介します。
解体費用の相場
解体の費用は、建物の構造や面積によって大きく左右されます。
そのほかにも重機が入れる立地であるかどうかなど、周囲の状況も影響します。
1坪あたりの解体費用を構造別にみていきましょう。
●木造:2〜4万円/坪
●鉄骨造:3〜4万円/坪
●鉄筋コンクリート造:4〜6万円/坪
建物が強靭になるほど解体費用が上がります。
撤去費用
解体するときには、建物の解体以外にも付帯工事と呼ばれる建材を撤去する費用が発生します。
建物の周りには、ブロック塀や、倉庫、門、扉などが設置されている場合があるでしょう。
植木や庭石なども同様です。
建物を解体するときには、建物に付随するものも撤去・処分しなければならず、解体業者に依頼すると費用がかかります。
それぞれの撤去費用の目安をみていきましょう。
●ブロック塀:1㎡あたり約1万円
●植木:約1〜5万円
●門や扉:約2万円
●倉庫や物置:約2〜3万円
以上のように1つ1つの金額は少額でも、坪数が大きい場合や、多くのものを撤去するときはまとまった金額が必要です。
解体費用とは別に、撤去費用がかかることも資金計画に組み込んでおきましょう。
また、ブロック塀などは、そのまま残しておいて建て替えたあとに活用できる場合があります。
跡地をどのように活用するかをイメージして、解体業者と打ち合わせをおこないましょう。
廃材処分費用
建物を解体すると多くの廃材が出ますが、それらを処分するときには費用が発生します。
廃材の品目によって費用が異なるので、それぞれ1㎡あたりの廃材処分費用をみていきましょう。
●木くず 約5千円
●石膏ボード:約1万円
●タイルやカーペット:約3万円
●レンガ:約3万円
廃材は産業廃棄物と扱われるため、正式な方法で処分する必要があります。
廃材によってはリサイクルが可能なものもあり、単に廃棄するよりは費用が安くなるので積極的に近くのリサイクル業者の情報を収集すると良いでしょう。
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まとめ
当社では上記のような物件もお取り扱いしております。
事故物件を売却する際に、解体してから売却するメリットとデメリットについて解説しました。
解体するためには高額な費用がかかりますが、そのままにして売れるまで時間がかかったり、価格が下がることを考えると、結果的にプラスになる可能性があります。