不動産相続にまつわる制度の中には「遺贈」があります。
これは、法定相続人やそれ以外の他人へ財産を遺したいときに利用できる制度のことです。
多様なライフスタイルが成り立つ昨今は、法定相続人ではなく友人や知人など法定相続人以外の方に財産を遺したいと考える方もいらっしゃいます。
今回は、人生最後の意思表示ができる遺言で、大切な人と思いを分かち合う遺贈についてご紹介します。
遺贈で他人に不動産を遺せる?
遺贈を使えば、法定相続人でない他人を受取人(受遺者)として不動産を遺すことができます。
この人物指定に受遺者本人の承諾はいりませんが、遺言書に不動産を遺す人(遺贈者)の意思を明記しておく必要があり、口頭での約束は無効です。
遺贈には「包括」と「特定」の2種類があり、その対象者は「包括受遺者」・「特定受遺者」といいます。
なお、包括は、「土地の3分の1」など遺す不動産のうち一定の割合を譲ることで、特定は「自宅」など特定の遺産を指して譲ることを言いますので、その違いに注意しましょう。
不動産を他人に譲れる遺贈は相続とは異なる
不動産を他人に遺すことのできる遺贈は、相続と異なるポイントがあります。
まず、双方ともに死後に財産を託す手段ですが、遺贈は代襲ができません。
一人単独での財産引き渡しになるので、指名された本人が亡くなってしまうと、受け取る資格もそこで消失してしまうのです。
また、特定受遺者は遺産分割協議に参加できないなど、遺産に対して主体的に携われないので、法定相続人か包括受遺者、遺言執行人が代わりに関与します。
包括の場合は、法定相続人と同じ権利をもちますよ。
他人に不動産を遺贈するなら登記に注意!
不動産を他人に遺すなら登記は避けては通れず、相続との差異点が問題となってきます。
遺贈においては、土地や家の所有権を主張するのに登記が必須で、遺言だけでは不動産の債権者など第三者に対抗できません。
このような背景から、譲られた土地や家はなるべく早く所有権移転の登記をおすすめしますが、ここでも相続と異なり、単独での手続きができない問題点があがってきます。
手続き方法は遺言執行者の有無によって2パターンに分かれます。
遺言執行者がいれば、登記は執行者と申請できるので、そこまで手間はかかりません。
一方、遺言執行者がいない場合、法定相続人全員の印鑑証明が必要となり、集めるのに手間と時間を要する恐れもあります。
まとめ
遺贈は他人に不動産を譲りたいときに有効な手段ですが、さまざまな注意点があります。
「特定遺贈」は遺産に単独関与ができず、「包括遺贈」は法定相続人と同じ権利をもつ、とイメージしておきましょう。
円滑な不動産相続で故人の遺志を尊重できるといいですね!
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