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訳あり物件を所有している方のなかには「身内が自殺した物件を売却したいけど売れるのかな…」などの悩みを抱えているケースもあるのではないでしょうか?
法律で「自殺があった物件を売ってはいけない」などの決まりはないため、人が亡くなった物件でも売却はできます。
ただし売却の際には「告知義務」が生じ、自殺があった物件ということを買主に伝えなければなりません。
この記事では、告知義務の概要や、自殺があった物件をリフォームして売る場合の費用・売却時の対策について解説します。
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弊社へのお問い合わせはこちら自殺があった物件をリフォームして売却する際の「告知義務」とは?
自殺や他殺など、人が亡くなった物件を「心理的瑕疵(かし)のある物件」といいます。
いわゆる「事故物件」と呼ばれるものです。
そもそも事故物件にはどんな定義があるのでしょうか?
事故物件の概要を見てみましょう。
心理的瑕疵物件とは?
瑕疵というと難しい言葉に感じますが、簡単にいうと「見えない部分の欠陥」という意味です。
たとえばシロアリによる木材の腐食や雨漏り、給排水管の故障などパッと見ただけでは、わからない部分の欠陥を指します。
なお上記で挙げた例は「物理的瑕疵」といいます。
一方「心理的瑕疵」が示す意味は、自殺や他殺・自然死などがあったということです。
人が亡くなったことを示す他にも、周囲にお墓がある・指定暴力団構成員の事務所があるなど「買主が知っていたら購入しないであろう事柄」も含まれます。
これらの物件には「告知義務」があり、心理的瑕疵があることを隠さずに話さなければなりません。
告知の必要性
自殺があった物件を売却するには、たとえリフォームをしてきれいにしたとしても、必ず告知が必要です。
告知義務については、宅地建物取引業法第47条で定められており、過去に自殺者が出た物件であることを伝えなかった場合、宅地建物取引業法違反になります。
その結果、契約の解除および法行為にもとづく損害賠償請求をされる可能性があるのです。
自身が買主の立場で考えてみても、購入した物件で人が亡くなっていたことを告知されていなかった場合、後から知ると嫌な気持ちになるでしょう。
賃貸物件ではなく購入した物件となると、なおさらです。
トラブルを避けるためにも、告知義務を守ったうえで売却活動をおこないましょう。
いつまで告知する義務があるか
事故物件として告知する期間について、明確な決まりはありません。
賃貸物件であれば3年程度と決まっていますが、売買物件の場合は決まった告知期間がなく、たとえ20年前に事件・事故があった場合でも告知したほうが良いとされています。
実際に、50年以上も前の事故物件に対し瑕疵の告知がなかったとして、売主に契約解除を求めた裁判で認められたケースがあります。
長年の月日が経ったからといって告知義務がなくなるわけではないのです。
自殺があった物件をリフォームして売却する際の費用相場とは?
一般的に事故物件は売却が難しく、売れるまでに時間がかかります。
そのため、リフォームをしてきれいにした状態で売却し、売れやすくするといった方法があります。
新築同様にきれいにしたり設備を最新のものにしたりするなど、一般の中古住宅との差別化が必要です。
しかしリフォームをするにも、床や壁が体液で汚れてしまっている場合には、まず自殺現場の清掃から始めなければなりません。
その際は特殊清掃業者に依頼し、特殊清掃をしてもらう必要があります。
特殊清掃とは
特殊清掃とは、主に自殺や孤独死などがあった部屋をきれいにすることです。
自殺後、発見が遅れ腐敗が進んでいるとウジ虫やハエが湧き、また体液による床の損傷も考えられます。
こうした状況は通常のハウスクリーニングでは対応できないため、特殊清掃を入れる必要があります。
特殊清掃の費用相場
以下、特殊清掃の費用相場です。
●消臭や除菌の作業:3~10万円
●体液や汚物などの処理・清掃:3~10万円
●ゴミなどの処分:5~30万円
部屋の広さや状況によって金額の変動があるものの、和室タイプの1Kアパートに特殊清掃が入るとした場合、平均予算は40万円前後となります。
リフォームにかかる費用相場
体液が壁や床の広範囲に飛び散ってしまっていた場合、全面リフォームを検討する必要性が出てきます。
その場合の費用は高めになりますが、反対に死後の発見が早く、部屋がそこまで汚れていない場合、小規模のリフォームで済むケースもあります。
リフォームの費用相場は以下のとおりです。
●クロスの張り替え:約2,000~3,000円/1㎡
●フローリングの張り替え:約4,000~5,000円/1㎡
●畳の交換:1万円前後/1畳
●ユニットバスの交換:200万円前後
●トイレの交換:50万円前後
たとえば、10畳のリビングだとクロスの張り替えでは20万円前後、フローリングの張り替え費用は8万円前後が費用相場になります。
またトイレやお風呂、水回りで自殺があった場合はユニットごとの交換が必要です。
ユニットごと交換すると、配管接続の工事や撤去した設備の処分費用などが別途必要となり、リフォーム金額が高額になる可能性があります。
上記のことから、10畳1Kの和室アパートで考えた場合の費用相場は「特殊清掃で40万円前後、畳とクロスの交換で30万円程度」であり、総額約70万円です。
算出した費用相場はあくまでも目安のため、詳しい予算が知りたい場合は、事前に特殊清掃の業者やリフォーム業者へ見積もりをとると良いでしょう。
自殺があった物件をリフォームして売却する際のコツや対策
売却が難しい事故物件を、売りやすくするには対策やコツがあります。
リフォームをした物件を売りやすくするための対策にはどんな方法があるのでしょうか?
ここでは自殺があった物件を早めに、また確実に売れるようにするための対策について解説します。
対策①相場価格よりも20~50%落として販売する
物件の状況や事件・事故の原因によって価格は異なりますが、一般的に事故物件は、20~50%ほど値下げした価格での売却になるといわれています。
売却時の価格を下げる方法は、購入者を見つけるためにもっとも効果的な対策です。
とくに人気エリアの物件だと、高額で手が届かないといった方でも、事故物件で値下げされた価格であれば購入できるという方もいます。
「事故物件」ときいて強く気にする方もいれば、一方でまったく気にしないという方もなかにはいるでしょう。
まったく気にしないという方にとっては、価格の安い物件は魅力的であり、購入意欲につながるといえます。
対策②期間を空けてから売却する
自殺や他殺どちらにしても、直後は近隣の噂などがあり、売りに出してもなかなか売れません。
価格を下げるのも一案ですが、少しでも高値で売りたいと考えるのであれば、事故から数年ほど期間を空けてから売却するほうが良いでしょう。
早めの売却を望むあまり、事件後すぐ売りにだすと、相場よりも極めて低い価格での売却となる可能性があります。
また、ここで注意してほしいのが「期間を空けたから自殺があったことを伝えなくて良いわけではない」ということです。
損害賠償の請求など後のトラブルを避けるためにも、告知義務をしっかり守り心理的瑕疵があることを必ず伝えましょう。
まとめ
事故物件の告知義務の概要、リフォームの費用相場について解説しました。
自殺があった物件は売れないと思いがちですが、リフォームをして売りに出す、販売価格を下げるなど、コツや対策次第で売却することが可能です。
その際は告知義務をしっかり守り、買主と売主お互いが納得できる形で契約を進めるようにしましょう。
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