相続人が借地権を保有していた場合、借地権も相続の対象となります。
しかし、借地権の相続は地主とのやり取りも発生するため、通常の遺産よりも複雑です。
そこで今回は借地権の相続について、遺贈の場合の流れや評価方法、注意点を解説していきます。
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弊社へのお問い合わせはこちら借地権の相続は可能!遺贈の場合や手続きの流れ
借地権とは、建物を所有するために他人から土地を借りる権利のことを言います。
この借地権を利用して、他人の土地に自分の建物を建てる人も多くいるのです。
まずはじめに、「借地権の相続は可能なのか」「遺贈の場合どうなるのか」について、手続き方法も含め解説していきます。
借地権の相続は可能
借地権の相続は、地主の許可なくおこなうことが可能です。
地主に対しては、土地の借地権を相続した旨を通知するようにしましょう。
地主から、名義書換料の請求がくるケースもありますが、支払い義務はありません。
また、「土地を返してほしい」という地主の要求も受け入れる必要はないので、覚えておきましょう。
遺贈による借地権の相続は?
遺産を法定相続人以外の人物に相続するケースを「遺贈」と言います。
通常の相続とは異なり、遺贈による借地権の相続では「地主の許可」と「承諾料」が必要になります。
では、遺贈による借地権の相続手続きはどうなるのか、流れを解説していきます。
遺贈の流れ①:承諾請求をおこなう
まずは、借地権の遺贈について地主に承諾請求をおこないましょう。
この際に、遺贈義務者と受遺者の連署が必要になります。
遺贈の流れ②:承諾を受ける
地主から承諾を受ける場合は、遺贈義務者と受遺者のどちらかに伝えてもらえば問題ありません。
口頭だと後々トラブルになる可能性もありますので、内容証明をしっかりおこなうのがおすすめです。
地主の承諾を受けることができれば、遺贈で借地権を相続することが可能になります。
遺贈の流れ③:登記の手続きをおこなう
最後に、建物の所有権移転登記をおこないましょう。
地主の承諾を受けてから手続きをするよう、注意してください。
遺贈において地主の許可がでない場合
地主の許可がでない場合は、家庭裁判所へ申し出て地主の承諾に変わる許可を得ることも可能です。
家庭裁判所からも許可を得られない場合は、弁護士に相談するのが良いでしょう。
遺贈の承諾料
遺贈に必要な承諾料は、周辺エリアの相場を目安にするのが一般的です。
相場が分からない場合は、以下の計算方法で費用を決定します。
「承諾料」=借地権価格×10%前後
ちなみに、更新料は「更地価格×借地権割合×5~10%」で計算されます。
承諾料と合わせて事前に計算しておくと良いでしょう。
相続する借地権の評価方法について
借地権の相続税を算出するために、借地権の評価額を出すことになります。
しかし、借地権の評価額を出す方法は、借地権の種類によって異なるのです。
ここでは、「普通借地権」、「定期借地権など」、「一時使用目的の借地権」の3つの借地権の評価方法について解説していきます。
普通借地権の評価方法
普通借地権の場合の評価方法は以下のとおりです。
普通借地権の評価額=地用地の評価額×借地権割合
「地用地の評価額」とは、自分の所有地であると仮定した際の評価額のことで、土地の更地価格のことをいいます。
「借地権割合」は、国税庁ホームページの路線価図で確認することが可能です。
路線価の価格についているアルファベット表記のものが、借地権割合となっていますので、一度目をとおしてみてください。
地用地の評価額1億円の土地で、借地権割合が50%だった場合、「1億円×50%=5,000万円」となり普通借地権の評価額は5,000万円になります。
定期借地権の評価方法
普通借地権とは異なり、定期借地権の評価方法は複雑です。
なぜ複雑なのかというと、相続時の借地人に帰属する経済的利益と存続期間を基準に評価がおこなわれるからです。
評価方法は以下のとおりになります。
定期借地権の評価額=相続時の自用地評価額×(①/②)×(③/④)
①:定期借地権などの設定における借地権者に帰属する経済的利益の総額
②:定期借地権などの設定時におけるその宅地の通常の取引価額
③:課税時期におけるその定期借地などの残存期間年数に応じる基準年利率による複利年金現価率
④:定期借地権などの設定期間年数に応じる基準年利率による複利年金現価率
評価方法を見てわかるとおり、かなり複雑な方法となっていますので、正確な評価額を出すためにも税理士に相談するのがおすすめです。
一時使用目的借地権の評価方法
一時使用目的借地権では、「自用地評価額」を適用して評価するのは適切でないとされています。
そのため、雑種地賃貸権の評価方法と同じように評価されることとなり、賃貸借契約の内容、利用状況などが関係してきます。
こちらも定期借地権同様、プロの税理士に依頼して、正しい評価額を算出してもらうのが良いでしょう。
借地権の相続で地主とのトラブルを避けるには?注意点を解説
借地権の相続をおこなう際の注意点は、「地主とのトラブルを避けること」です。
地主とのトラブルではどのような事例があるのか、注意点も一緒に確認していきましょう。
事例①:地主が新築を認めない
借地に別名義人の新築を建てようとした場合、地主が反対するケースがあります。
「親が借りている土地に、子ども名義で新築を建てたい」という場合に起こってしまうトラブルです。
強行突破すると契約解除になるリスクもありますので、子どもの名義で新たに土地賃貸借契約を結んでもらうのが良いでしょう。
また、地主の承諾を得ずに二世帯住宅を建築してしまうケースも多くなっています。
親子共有で建築する場合でも、地主の承諾は必要なので事前に承諾を得てください。
事例②:地代をあげたいと要求があった
地主の経済状況や固定資産税の影響で、地主から地代をあげたいとの要求がくるケースもあります。
借地借家法に基づいた、正当な値上げであれば応じる必要があります。
ただ、どうしても値上げに納得がいかない場合には話し合いの場を設けることも可能です。
話し合いで解決できなかった場合は、調停や訴訟に進むことになりますので注意しましょう。
スムーズにお互いの合意点を見つけられるよう、普段から地主との信頼関係を構築しておくことも大切です。
事例③:地代を滞納した
地主とのトラブルで多いのが、「地代の滞納」です。
地代を滞納し契約解除の申し出がきた場合は、すぐに契約書を確認してください。
契約書には、「どの期間・回数滞納すると契約解除になるか」明確に表記されているのが一般的です。
1回や2回の滞納で契約解除が認められることは少ないので、必ず契約書を確認してください。
とはいっても、地主との信頼関係のためにも滞納しないよう注意しましょう。
事例④:地主が変わり、立ち退き依頼された
立ち退き依頼されたとしても、借地契約で借地権の登記がされていれば立ち退く必要はありません。
他にも、以下の条件が整っていれば立ち退き依頼に対して抵抗する旨を主張することができます。
●建物に借地権者の登記がされている
●借地上に登記された建物が建っている
地主の要求に必ずしも従う必要はない
地主とトラブルに発展してしまった場合の注意点は、地主の要求をすべて受け入れようとしないことです。
借地人を保護する法律もありますので、少しでも不安に思ったらお気軽に弊社までご相談ください。
まとめ
以上、借地権の相続について、「遺贈の際の手続き方法」、「借地権の評価方法」、「地主との注意点」を解説してきました。
借地権の相続は可能ですが、通常の相続より複雑な部分も多いのでよく理解を深めておきましょう。
相続後は地主と円満な関係を築けるよう、滞納が発生しないよう注意してください。
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