不動産の相続に、「共有名義」という相続方法があります。
複数人で不動産を所有する「共有名義」ですが、相続人同士のトラブルに発展しやすいというリスクがあるのです。
そこで今回は、共有名義のメリット・デメリット、トラブル事例、トラブルを避ける対策方法までご紹介します。
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ここからは、不動産を相続する方法のひとつである「共有名義」について、メリット・デメリットをご紹介していきます。
その前に、共有名義とは具体的にどのような相続方法なのか、理解を深めておきましょう。
「共有名義」とは
不動産の相続方法のひとつである「共有名義」とは、不動産を複数人で所有することを言います。
相続の場合、「法定相続分」と言って、法定相続人ごとに相続割合が決まっています。
法定相続分をそのまま共有持分(所有権の割合)に反映させるケースが多く、法定相続人が多ければ多いほど権利関係が複雑になっていきます。
共有名義で相続するメリットとは
共有名義で相続するメリットは以下のとおりです。
メリット:節税対策ができる
共有名義で相続をすると、売却時に「マイホーム特例」という節税対策をおこなうことができます。
マイホーム特例とは、譲渡所得税から最大3,000万円の控除を受けることができる制度です。
各相続人がこの特例を利用できるのも、メリットです。
他にも、夫婦で共有名義にしていると2重の住宅ローン控除を受けられるメリットがあります。
住宅ローン控除とは、10年間住宅ローンの年末残高1%が返金される制度です。
共有名義で相続する場合は、このようなメリットを上手く活用しましょう。
共有名義で相続するデメリットとは
共有名義で相続するデメリットは以下のとおりになります。
デメリット①:細分化されていく
相続後もそのまま共有の状態を続けると新たな相続が発生し、不動産の持ち分はどんどん細分化されていきます。
すると権利関係は複雑化していき、不動産の管理方法や所有人の同意が必要となる手続きでトラブルが発生しやすくなるのです。
そのため、長期的に共有状態を続けるのはおすすめできません。
デメリット②:登記をし直す必要がある
相続時に登記をし直す必要があり、この手続きに手間がかかってしまうでしょう。
また、共有者の人数や共有者を変更するたびに登記変更手続きが必要になります。
共有者のなかに登記について詳しい方がいるとスムーズですが、ある程度の知識がないと手続きに時間がかかるかもしれません。
デメリット③:維持費でトラブルになりやすい
不動産を相続して所有していると、管理費や固定資産税などの維持費が発生します。
原則、維持費は持分の割合によって共有者で負担します。
誰かが立て替えて精算した後に集金することになりますが、スムーズに集金できるとは限りません。
毎回滞納する共有者がいれば、トラブルを避けることは難しいでしょう。
共有者同士で維持費に関するルールを事前に決めておくことが大切です。
不動産を共有名義で相続したときのトラブルやリスク
不動産の相続方法のなかでも、トラブルになりやすいのが「共有名義」で相続する方法です。
ここからは、共有名義で発生するトラブルやリスクを解説していきます。
トラブル①:遺産分割協議が進まない
遺言書がない場合、持分の割合は法定相続分に基づいて決定するのが一般的です。
しかし、相続人が複数人いると分割も複雑になるためトラブルに発展し、遺産分割協議が進まないケースがあります。
「寄与分」で揉めるケース
寄与分とは、長年同居していた相続人や介護のお世話をしていた相続人など、「資産の維持に貢献した相続人」に与えられるものです。
寄与分があるとされる相続人からすると、他の相続人と平等に持分を分割されるのは納得がいきません。
結果的に寄与分のある相続人と他の相続人でトラブルに発展してしまうリスクがあります。
「特別受益」で揉めるケース
特別受益とは、被相続人が特定の相続人のみに資金の援助をしていた場合に発生する問題です。
相続人のなかでも1人だけ被相続人から車を購入してもらったり、家を購入してもらったりしていた場合、他の相続人は持分が平等なことに不満を抱くでしょう。
特別受益を受けていた相続人が折れなければ、トラブルに発展して遺産分割協議は進みません。
「遺留分」で揉めるケース
遺留分とは、法律で最低限相続できるとされている相続割合のことです。
遺言があってスムーズに話が進んでいても、遺留分を主張する相続人が現れれば遺産分割協議は停滞してしまいます。
トラブル②:共有者の1人が単独で使用する
共有名義の場合、共有者全員に不動産を利用する権利があります。
所有している持分割合に関係なく不動産全体を利用できるので、共有者の1人が単独で使用を開始するリスクが発生します。
不動産を単独使用している共有者に、法律上の強制退去を求めることはできません。
トラブル③:賃貸物件にして揉める
不動産の相続が思うように進まず、とりあえず「共有名義」にするケースもありますが、共有名義にしたことで後々揉めるリスクが高くなります。
たとえば、不動産を所有しているだけで維持費はかかりますので、「相続した不動産を賃貸物件にして収益を得よう」と発案する共有者が現れたとします。
そんなとき、共有者の全員が賛成してくれるとは限りません。
反対者がいればそれだけでトラブルになります。
また、賃貸物件として収益を得たとしても、収益の配分や修繕費の負担など、話し合いが必要になってしまいます。
不動産を共有名義で相続しない方法!トラブル・リスク対策
共有名義で相続しない方法として、「代償分割」と「換価分割」という相続方法があります。
共有名義でのトラブルやリスクを避けるために、「代償分割」と「換価分割」での対策を検討してみるのがおすすめです。
「代償分割」とは
代償分割とは、相続人の1人が不動産を取得する代わりに、他の相続人に代償金を支払い平等に分割する方法です。
たとえば、900万円の不動産に対して相続人が3人いたとします。
代償分割の場合は1人が不動産を相続し、他の2人に300万円ずつ渡すことで平等に相続したことにするのです。
相続人の1人が遺産である不動産に元々住んでいた場合に、代償分割がおこなわれることが多いです。
不動産は1人が相続するので、後々の維持費や管理費についてのトラブル対策になります。
また、誰かが不動産に住み続けるのであれば、代償分割のほうが平等感が増して相続時のトラブルも避けられるでしょう。
「換価分割」とは
「換価分割」とは、相続する物件を売却して、売上金を相続人で分割する方法です。
相続する不動産に誰も住んでいないなど、売却しても問題がなければ分かりやすく平等に分けることができるのでおすすめです。
実際の売上金を分けるので、不動産の評価額について話し合いをおこなう必要もありません。
そのため代償分割よりもリスクの低い分割方法と言えるでしょう。
不動産の相続発生時に、「不動産を売却して良いか」相続人同士で話し合いを進めるのもひとつの手段です。
まとめ
共有名義で不動産を相続するメリット・デメリットについて解説しました。
ご紹介したとおり、共有名義はトラブルになりやすい相続方法なので、他の方法で対策をとるのもおすすめです。
相続時の話し合いをスムーズに進めるためにも、事前にある程度相続方法を決めておくと良いかもしれません。
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